職員インタビュー
先輩職員に聞きました。
南山城学園の
「人」と「仕事」

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藤林 大地 Taichi Fujibayashi
10年目:2015年入職
歴史学部 歴史学科 卒業
職種:副施設長(障害者支援施設 紡) -
上田 康司 Koji Ueda
6年目:2019年入職
社会学部 地域福祉学科 卒業
職種:児童指導員(京都府内の他の社会福祉法人へ出向) -
佐久間 智子 Tomoko Sakuma
3年目:2022年入職
社会学部 社会福祉学科 卒業
職種:生活支援員(障害者支援施設 光) -
進行/田中 楓 Kaede Tanaka
11年目:2014年入職
社会福祉学部 社会福祉学科 卒業
職種:法人本部職員(企画広報課)

― 3年目、6年目、10年目と、それぞれ異なるキャリアから、学園のこと、職場のこと、支援のことなどを語りあってもらうことで、南山城学園のよりリアルな姿をイメージできる読みものにできたらと思っています。まずは簡単に自己紹介をお願いします。
佐久間:はい、現在私はスーパーローテーションで働いていて、1年目「円」、2年目「煌」、3年目の現在は「光」という施設で生活支援員をしています。障害者支援と高齢者の方の介護の分野を経験し、円のときには、上田さんが先輩でいろんなことを教わりました。
上田:現在の職場は南山城学園の施設ではなく、京都府内の他の社会福祉法人へ出向しています。出向先では児童分野に携わっていますが、円で障害者支援、輝では高齢期の障害者支援を経験しました。入職して配属されたのが輝。藤林さんが先輩で、今でも公私ともにお世話になっています。
藤林:障害者支援施設 紡の副施設長をしています。以前は輝や和で働いていました。いずれも知的障害のある高齢の方の施設を経験してきました。施設によって障害の特性が異なるので、コミュニケーションのとりかたもそれぞれ工夫するのがやりがいの一つでもあります。言葉を話せる利用者さんから「明日、何勤や?」というやりとりもあったり。気軽に聞いてくれるのがうれしいですね。

背中ではなく、言葉で受け継ぐ。
すごく向きあってくれる人が、脈々と。

― みなさん異動を経験していますね。それぞれの施設に共通して感じる、南山城学園らしい人とは?
佐久間:1年目のときに先輩から「スーパーローテーションだから1年しかいないことはわかってる。でも、この1年でできることはぜんぶ教える。自信をもって次の施設にいけるように」と言ってもらえたことは、今でも励みになっています。すごく安心できたことを覚えています。見てくれている人がいるんだと。
藤林:そうやって「言葉ではっきり伝えてくれる、気づかせてくれる先輩」がいるって、南山城学園らしいなぁと思います。たとえ1年目の若手職員にだって「君はどうしたい?」って聞いてくれる。これって、少しでも施設をよくしようという現れですよね。「うちの施設はこうだから」ではなく、若手の新しい視点をとりいれようとしてくれる。僕自身、そんな先輩のもとで育ってきたから、僕もそうありたいと思うようになりました。
上田:しっかりと向きあってくれる人が脈々と、ですね。だってそれは、僕も佐久間さんも感じてるから。
藤林:巻き込んでくれるんですよね。以前、京都市伏見区エリアの近くに保育園があったんですけど、園児が外で遊んでたら近所から騒がしいって苦情が。なんて時代だ…と思っていたら南山城学園に相談がきて。それなら、近所の空いてる土地を畑にして、そこを子どもたちに解放して遊んでもらおうと思って、当時の施設長に相談したらすぐに「やろやろ」って(笑)話が早いわけです。それから「畑に詳しい職員さんおるで、呼ぼう」「上田くん明日畑耕すからつなぎ持ってきてな」といった具合にどんどん進んでいきました。これって南山城学園の人だからできることなんじゃないかな。
上田:今でこそ異動を経験できてよかったと思っていますが、最初はすごく不安でした。輝のときは3年勤務し「そろそろリーダーやってみるか」という頃に異動が…。何かの間違いかと思いましたよ(笑)でも、異動を経験することで、自分の現在地がわかるんですよね。支援に対する視野が広がったり、逆に自分が身につけてきたことをみんなにシェアしたり。
藤林:たしかに。輝にいた頃、大ベテランの先輩が異動してこられて。「このやりかた、どう思う?」と、当時まだ若手だった僕にも聞いてくださるわけです。それにより、この施設の“あたりまえ”だったことでも、実はもっといいやりかたがあることに気づかされるんですよね。
上田:新しい視点を持ち込める。そしてそれが、異動先の施設をよりよくアップデートしていくんですね。

自分でも驚くくらい、心が動く瞬間がある。だから、この仕事がやめられないんだと思う。

― とことん人に向きあう私たちの仕事。この仕事を続けられている原動力とは?
佐久間:利用者さんから叩かれることもあるし、認知症の方から言われた言葉に傷つくこともあります。煌で働いていたときに、利用者さんの死に直面しました。とても落ち込みすこしお休みをいただいたんですが、その間も先輩たちが毎日連絡をくれて、飲みにいったり遊びにいったり、私を家から連れ出してくれて、それにものすごく助けられました。気持ちを切り替えることができたし、人を大切にしてくれる職場なんだとあらためて実感しました。
藤林:僕も大好きなんですよ、南山城学園の先輩たち。そして歴代の主任や管理職の上司たち。僕の好きな先輩はぜったいに「この施設はこうだから」って言わなかった。おかしいと思うことがあれば言葉で伝えるし、後輩の意見をどんどん聞く姿勢がありました。僕も今、管理職という立場になって、先輩たちのようになろうと背中を追いかけているところ。とにかくここには、おもしろい人がいっぱいいるってことです(笑)
上田:おなじ現場で働く仲間は、仕事を続けるうえでの大きな原動力になりますよね。僕は、この仕事ほど人に向きあう仕事はないんじゃないか、と思っていて。いろんな人と出会えるというのもそうだし、人が朝起きてから寝るまで、もっというと亡くなるまでずっと関わってるんですよね。児童分野に携わり、あらためて「その人の未来をつくる仕事」なんだと実感しました。児童だけじゃなく、成人期でも高齢期でも。ほんの少しでも、その人にとって豊かな未来になるために自分に何ができるんだろうって。それを考えることが原動力のような気がします。
佐久間:利用者さんの未来をつくると同時に、自分の未来もつくってもらっているような。というのも、やっぱり利用者さんとの関わりがあるから、続けられていると思うんです。先日はじめて、利用者さんから名前を呼んでもらえたんです。それがもう飛び上がるくらいうれしくて。こういう日々が楽しいから続けられているのかもしれません。もともとは私、相談員になりたかったんですよ。でも経験を積むなかで今は現場にいつづけたいなと思っています。
藤林: 4年目くらいのときの話なんですけど。長期入院されている利用者さんを3年担当させてもらってたんです。毎週夜勤前に面会に行ってたんですけど、「いよいよ」というときがきて。胃ろうをして生きるか、処置を施さず死を待つか、という選択を迫られ、ご家族は胃ろうを断られたんです。その瞬間、僕、はじめて怒ってしまいましてね。医師も看護師もいる前で、ご家族にすっごく怒ってしまって。それで施設に戻って施設長や副施設長に話をしたら、「きみが怒ってんのはわかる。でも、ご家族の話をちゃんと聞いたか?」つづけて、「きみは3年がんばった。毎週夜勤前に面会にも行ってたのも知ってる。でもな、ご家族は60年いっしょに過ごしてきたんやで。まずはご家族の話を聞いてみようや」と。若かったんですよね。浅はかだった。でも、自分ってこんなに感情が動くんだ、とも思ったんです。こんなに怒れるって、本気になれてるってこと。そして、やっぱり先輩たちに気づかされました。魅力的な先輩たちと、利用者さんとの関わりのなかで心が動く瞬間に出会える。それがこの仕事を続けられている理由ですね。

いっしょに向きあい、
よりそえる。
そんな仲間と
会える日を
楽しみにしています。
